WORK&CREATION

【WORK&CREATION】何度も来た場所を、今の自分でもう一度見てみる。 ー 孫、そしてクリエイターとしての新たな岐阜の気づき

WORK&CREATION

artLargeには、「WORK&CREATION (以下、ワークリ)」という制度があります。
毎月2名の社員が国内外の旅先でリモートワークができます。

こんにちは、artLargeのグラフィックデザイナー・土本のぞみです。

私はこれまで、前橋、浅草、宇都宮、小豆島など、いくつかの場所でワークリをしてきました。
もともと旅行は好きですし、美術館や建築、ちょっとおもしろい施設に行くのも好きなので、ワークリは毎回楽しく参加させてもらっています。

ただ、今回の岐阜は、これまでのワークリとは少し違いました。
岐阜県は、父の実家がある場所です。

子どもの頃から何度も訪れてきた、私にとっては見慣れた土地でした。
今回は祖母の一周忌のタイミングで岐阜に行くことになり、せっかくならワークリも兼ねようと思いました。

初めての場所を見に行くワークリではなく、「何度も来た場所を、今の自分でもう一度見てみる。」

そんな気持ちで今回のワークリに臨みました。


岐阜の旅のはじまりに出会った、尾州という土地

岐阜を訪れる旅のはじまり。

名古屋を経由して、最初に立ち寄ったのは愛知県一宮市にある工場内の洋服店「新見本工場」でした。

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ここは、世界的な毛織物産地「尾州」の最高級生地を使った服を、 産地で直接販売している少し特別なお店です。

私も今回の滞在で初めて知ったのですが、尾州エリアは、愛知県一宮市周辺から岐阜県西濃エリアにかけて広がる産地で、イタリア、イギリスと並ぶ「世界三大ウール産地」のひとつなのだそうです。
「三大産地」と聞くと、生産量の多さをイメージしてしまいますが、どうやらそういう単純な話ではないらしい。

歴史的な背景や技術力、そして生産の仕組み。
そういったものが世界的に突出している地域が、その“三大”と呼ばれるのだそうです。

尾州の場合は、奈良時代から続く繊維産業の歴史があり、木曽川の軟水を使った加工、そして糸から織物までを 地域内の職人たちが分業・協業してつくる体制がある。
そういう積み重ねがあって、「量」ではなく「質」で評価されてきた産地なんだと知りました。

もちろん!その場で靴下を買いました。

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私が買った靴下は、ウールに和紙を混ぜた素材でできていて、さらっとした軽い質感で、あたたかさと快適さを両立したつくりになっていました。

和紙を使うことで、肌離れがよく、蒸れにくい素材になっているそうです。
ただ、この組み合わせは簡単ではなくて、ウールも和紙もどちらもとても繊細な素材で、通常は糸にしようとすると切れてしまうことも多いのだといいます。

それを一つの糸として成立させているのが、この地域の職人さんの技術なのです。

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こうした尾州の生地は、バーバリー(Burberry)やアルマーニ(GIORGIO ARMANI)といったブランドにも使われているそうで、実は世界的なファッションの現場から“選ばれている”産地でもあります。

さらに現地で案内してくださった水谷さんのお話は、商品の説明だけにとどまりませんでした。

尾州という土地のこと、地場産業を次の世代にどう残していくかということ、社員のモチベーションをどう高めていくかということ。

「世界三大ウール産地って言われているのに、地元の人も意外と知らないんですよね」
そんな現実も含めて話してくれたのですが、自分が楽しみながら周りも巻き込んでいこうとしている感じがあって、「地域の魅力を伝えたい」という思いが、ピュアに、無理なく、ちゃんと伝わってきたのが印象的でした。

地域に誇りを持つこと、いわゆる“シビックプライド”のようなものを、すごく自然な形で体現しているように感じました。

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後日、新見本工場のInstagramに投稿されていた内容。
あの時間が、こちらだけでなく、向こうにも残っていたことが、なんだか嬉しくなりました。

“工房っぽさ”を軽やかに裏切ってくれた、タイルのギャラリー

もうひとつ印象に残っているのが、多治見のタイルギャラリー「Tajimi Custom Tiles Gallery」でした。

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タイル工房の一角に設けられたこちらのギャラリーではタイルの展示・販売が行われています。
タイルというと、私の中では「貼るもの」というイメージが強かったのですが、そこに並んでいたのは、まるでオブジェみたいに見せられたタイルたちでした。

いわゆる「工房」と聞いて思い浮かべるイメージとは少し違って、つくる現場の空気感を背景に持ちながらも、タイルを“見せる場”として成立している空間でした。

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さらに印象に残ったのは、対応してくれた若い女性スタッフの方でした。
おしゃれな格好の上に、作業着をジャケットのようにさらっと羽織っていて、その佇まいやギャップがすごくよかったんです。

若い世代の人が自然に入り込み、感度高く働いている姿を実際に目にして、訪れる前に毛織物の工場で聞いていた「地場産業を次の世代につなげたい」という話が、ここでひとつの風景としてつながったように感じました。

地方のものづくりの現場って、もっと閉じた感じなのかなと、勝手なイメージを持っていました。

でも実際には、すごく軽やかで、今の感覚でちゃんと更新されている。

それが見えたのも嬉しかったです。

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ここでももちろん買いです!コースターに使いたいな〜

誰かと行くことで、自分にとっての“新”図書館に出会う

もうひとつ強く印象に残っているのが、岐阜市にある複合施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」です。

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建築としての面白さはもちろんあるのですが、それは単なる見た目のデザインにとどまらず、空間の使われ方や設計の思想そのものにも表れていました。

館内には図書館だけでなく、ホールやギャラリー、ロビー空間、スターバックスやコンビニまで入っていて、市民はもちろん、観光客も自然と集まれる場所になっています。
図書スペースもとても広く、天井から吊るされた傘のような構造ごとに、それぞれ異なるデザインの空間がつくられているのも印象的でした。

さらに、声を出して読書ができる個室のほかにも、親子で靴を脱いでくつろぎながら本に触れられるスペースや、中高生が自由に過ごし、司書とやりとりできる掲示板、グループで議論や勉強ができる部屋。
さらには起業や仕事の相談ができる窓口まで用意されていて、ただ本を読む場所というよりも、それぞれの人がそれぞれの過ごし方を見つけられる。

「図書館って、こんなふうにもできるんだ」
そう思って、かなり感動しました。

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実はこの場所は、今回岐阜に一緒に来た夫のリクエストで訪れた場所です。
私はこれまで一人でワークリをすることも多かったのですが、今回は夫が見つけてくれた場所や、夫が興味を持ったからこそ行けた場所がいくつもありました。

一人だと、自分の興味や計画の延長線上にあるものを選びがちです。
でも誰かと一緒だと、そこから外側に踏み出せる。

今回のワークリでは、その感覚がとてもありました。


ワークリは想像を裏切り、感性を更新する旅

振り返ってみると、今回の旅で私が強く惹かれたのは、どれも「想像を超えてきたもの」ばかりでした。

世界三大ウール産地の話。地域に誇りを持って働く人の熱量や若いスタッフの存在。
図書館という言葉からは想像できなかった、開かれた公共空間。

そして、それは観光の時間だけの話ではありませんでした。

最終日、岐阜のコワーキングスペースで、いつも通りデザインの展開作業をしていました。
作業自体は普段と変わりません。

けれど、その数日前に聞いた尾州の話や、多治見で見たものづくりの風景が頭のどこかに残っていたからか、「なぜこのデザインにするのか」「誰に届けたいのか」を、いつもより少し考えながら手を動かしている自分がいました。

尾州の人たちが地域の魅力を伝えようとしていたように、タイルギャラリーが”工房”のイメージを更新していたように、私たちの仕事もまた、誰かに何かを伝えるためのものです。
仕事内容は同じでも、旅先で出会った人や風景があるだけで、仕事を見る視点が少し変わる。

私はもともと、かなり計画を立てるタイプです。
今回の旅も、しっかり工程表をつくって動いていました。

でも、本当に印象に残るのは、予定通りに進んだことそのものではなくて、その途中で出会った少し想像を超えてくる出来事なんだと思います。

予定していなかった会話だったり、ふと立ち寄った場所だったり、人から教えてもらった情報だったり。
そういうものが、あとからじわじわ残っていきます。

ワークリは、ただ旅ができる制度ではなくて、「想像を少しだけ裏切ってくる体験」を増やすための仕組みなのかもしれません。
そして、その体験を通じて、自分が何に心を動かされるのか、何を“良い”と思っているのかを、少しずつ言葉にしていける時間でもある気がしています。

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街を散策中に見つけた看板。
レトロな雰囲気のイラストと、オレンジ×ブルーの配色が絶妙にかわいくて、思わず足を止めた。
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パン屋さんの棚に飾られたショッパーと手拭い。
VAATのロゴを大胆にレイアウトしたグッズ展開が面白く、デザインの参考になりそうだと感じた。

最後に、祖母の家で見つけたもの

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祖母の家には、私が小さい頃に描いたチューリップの絵が、ずっと飾られていました。

少し黄ばんでいて、かなり昔のものなのですが、いろいろ貼り替わっていく中でもその絵だけは、おばあちゃんが気に入って、ずっと大切に残してくれていました。

その絵は、当時の私自身も「うまく描けた」と思っていた一枚でした。
それを見て、「ああ、私はあの頃から、絵を描くことが好きだったんだな」
と改めて思いました。

何か新しい自分を見つけたというより、もともと好きだったものに、もう一度ちゃんと出会い直した。
そんな感覚に近かったです。

何度も来た場所を、今の自分でもう一度見てみること。
誰かと一緒に動くことで、自分だけでは届かなかった景色に触れること。
そして、その土地の魅力だけでなく、自分自身の輪郭も少し見えてくること。

そんな小さな再発見の積み重ねが、働き方の選択肢を、少しずつ広げてくれるのだと思います。

今回紹介したスポット


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感性を更新する、「WORK&CREATION(ワークリ)」に込めた想い

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